イケハヤです。
「プログラミングはできないけど、自分のアプリやWebサイトを作ってみたい」
昔はそれが夢物語だったかもしれませんが、今はもう違いますよね。Gemini CLIのようなAIチャットを使えば、まるで魔法のように、対話するだけでコードが生まれ、アプリが完成してしまう。
ぼくたちは、そんな時代に生きています。
これこそが、最先端の「Vibe Coding」です。
でも、ここで一つ、大切なことがあります。AIという魔法使いに「アプリを作って」とお願いする時、「どんな魔法(技術)で、それを作るか」を、ぼくたちが最初に指示してあげる必要があるんです。
この記事では、Vibe Codingを行うあなたのために、
- React / Next.js
- Vue / Nuxt
- Svelte / SvelteKit
この3つの「魔法の呪文」がそれぞれどんな特徴を持っていて、どれをAIにお願いするのがあなたの目的に合っているのかを、世界一わかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、あなたはAIに対して、最高の最初の「一言」を伝えられるようになりますよ。
呪文の前に知っておきたい:「ライブラリ」と「フレームワーク」の違い
本題に入る前に、AIに指示を出す上でとても大切な、2つの言葉の違いを説明させてください。
これがわかると、AIへの「お願い」の仕方が、もっと具体的になりますよ。
これを「料理」にたとえて説明してみましょう。
ライブラリは「こだわりのスパイスセット」
ライブラリは、料理でいう「スパイスセット」や「最高の食材」のようなものです。
たとえば、ReactはUIを作るための最高の「部品(食材)」を提供してくれます。
しかし、それを使ってカレーを作るか、パスタを作るか、どういう手順で調理するかは、すべて料理人である「あなた」次第です。
つまり、あなたが主導権を握って、AIに「この食材を使って、こういう手順で調理して」と細かく指示していくスタイル。
自由度は高いですが、全体の設計図はあなた(監督)が考える必要があります。
フレームワークは「高級ミールキット」
一方、フレームワークは、レシピと食材がすべて揃った「高級ミールキット」みたいなものです。
Next.jsやNuxtといったフレームワークは、「この手順で調理すれば、誰でも美味しい料理が作れますよ」という「レシピ(設計図)」と「必要な食材一式」を、最初から提供してくれます。
あなたは主導権をフレームワークに預けて、AIに「このミールキットのレシピ通りに作って」とお願いするだけ。
細かいことを考えなくても、本格的で美味しい料理(=高機能なアプリ)が手早く完成します。
まとめると、
- ライブラリ:あなたが「主役」。自由度が高い。
- フレームワーク:フレームワークが「主役」。楽ができて、失敗が少ない。
この違いを頭に入れておくと、AIにどんな「魔法の呪文」を唱えてもらうか、よりはっきりとイメージできるはずです。
React / Next.js:AIに「王道の魔法」を唱えてもらう
まずは、Web業界で最もメジャーな魔法、「React」と、その上位魔法である「Next.js」です。
AIとの相性は?:「最も賢く、安定している」
Reactは、世界中で圧倒的に多くの開発者に使われてきました。これは何を意味するかというと、AIが学習するための「お手本(データ)」がインターネット上に無数に存在するということです。
GeminiのようなAIは、この膨大なデータを学習しているので、ReactやNext.jsを使ったコード生成がめちゃくちゃ得意なんです。
「こういうの作って」とお願いした時に、最も安定して、質の高いコードを生み出してくれる。
Vibe Codingにおいて、これは「最も失敗しにくい、鉄板の選択肢」と言えますね。
AIにお願いすると、どんなものができる?
AIに「Next.jsでブログサイトを作って」とお願いするのは、「プロ仕様の、頑丈な家を建てて」と頼むようなものです。
AIが作ってくれるのは、単に動くだけのものではありません。
ページの表示が速く、多くの人がアクセスしても大丈夫なように設計され、Google検索にも見つけてもらいやすい(SEOに強い)、本格的な構造のサイトです。
あなたの役割は、まさに「監督」です。
「玄関はこうして」「リビングにはこの家具を置いて」とAIに指示を出すことで、プロ品質のアプリを完成させることができます。
どんな人におすすめ?
- AIに任せるなら、とにかく「安定感」と「信頼性」を重視したい人。
- 個人の趣味のアプリだけでなく、将来的にビジネスにすることも考えている人。
- AIが生み出したものを、世界中の豊富な情報を使ってさらに良くしていきたい人。
ReactとNext.jsの比較表:
比較項目 | React (ライブラリ) | Next.js (フレームワーク) |
---|---|---|
位置付け | UIを作るための「部品」 | Reactを使った「全部入りキット」 |
表示方式 | 基本はクライアント側で表示 (CSR) | 最初から高速表示 (SSR) に対応 |
ページ移動 | 自分で機能を追加する必要あり | ファイルを作るだけで自動で設定 |
開発体験 | 自由度が高いが、設定が大変なことも | 必要なものが揃っていて、すぐ開発できる |
おすすめ用途 | 管理画面、WebアプリのUI部分 | ブログ、ECサイト、企業のWebサイト |
Vue / Nuxt:AIに「美しい魔法」を唱えてもらう
次に、日本でも人気が高く、その「分かりやすさ」に定評がある魔法、「Vue」と「Nuxt」です。
AIとの相性は?:「生成されるコードが、読みやすい」
Vueも非常に人気があるので、AIは十分に学習済みです。
Reactと同様、安心して任せられる選択肢の一つですね。
Vueの面白いところは、もともとの設計が「人間にとって読みやすく、書きやすい」ことを目指している点です。
そのため、AIにVueやNuxtでコードを生成させると、出来上がったコードが非常にシンプルで、構造が理解しやすいことが多いんです。
これはVibe Codingにおいて、意外なメリットになります。「AIが何をやっているのか、なんとなくでも把握したい」と思った時に、Vue製のコードはとても親切なんですね。
AIにお願いすると、どんなものができる?
AIに「Nuxtでポートフォリオサイトを作って」とお願いするのは、「美しくて、整理整頓されたモデルルームを作って」と頼むのに似ています。
出来上がるサイトは、もちろん高機能。
その上で、内部の構造(コード)がスッキリしているので、後から「ここの色だけ変えたいな」「この文章を差し替えたいな」と思った時に、AIへの追加の指示がしやすいかもしれません。
あなたの役割は、「空間デザイナー」のようになります。
AIが作った美しい空間に対して、「この壁紙はこれにして」「照明はこれをお願い」と、細部のディレクションをしていくイメージです。
どんな人におすすめ?
- AIに作ってもらうだけでなく、出来上がったものの中身にも少し興味がある人。
- シンプルで美しい構造が好きな人。
AIとの対話を、よりスムーズで直感的に行いたい人。
Vue.jsとNuxt.jsの比較表:
比較項目 | Vue.js (フレームワーク) | Nuxt.js (メタフレームワーク) |
---|---|---|
位置付け | 学習しやすいUIフレームワーク | Vueを使った「全部入りキット」 |
表示方式 | 基本はクライアント側で表示 (CSR) | 最初から高速表示 (SSR) に対応 |
ページ移動 | 公式ライブラリを追加して設定 | ファイルを作るだけで自動で設定 |
開発体験 | 直感的で書きやすい。初心者向け | 規約に沿えば楽々開発できる |
おすすめ用途 | プロトタイプ、小中規模のWebサイト | メディアサイト、Webサービス全般 |
Svelte / SvelteKit:AIに「最先端の魔法」を唱えてもらう
最後に、新世代の魔法として注目を集める「Svelte」と、その上位魔法「SvelteKit」です。
AIとの相性は?:「少し挑戦的だが、可能性に満ちている」
Svelteは、ReactやVueに比べると新しい技術です。そのため、AIが学習しているデータの量は、まだ少ないかもしれません。
これはつまり、AIに「Svelteで作って」とお願いした時に、たまにうまく動かないコードが出てきたり、少し不思議なコードが出てきたりする可能性が、他の2つよりは高いかもしれない、ということです。
Vibe Codingにおいては、少しだけ上級者向けの「挑戦的な呪文*と言えるでしょう。
しかし、その挑戦には大きなリターンがあります。
AIにお願いすると、どんなものができる?
AIに「SvelteKitで動くアート作品を作って」とお願いするのは、「まだ誰も見たことがない、未来の素材で彫刻を作って」と頼むようなものです。
Svelteの最大の特徴は、「圧倒的なパフォーマンス」です。AIがSvelteKitで生成したアプリは、信じられないくらい動作が速く、軽快になります。出来上がるのは、無駄を極限まで削ぎ落とした、アスリートのようなWebアプリです。
あなたの役割は、「未来派アーティスト」です。
AIという新しい才能に、Svelteという最先端の素材を与えて、どんな作品が生まれるかを楽しむ。そのプロセス自体が、最高にエキサイティングです。
どんな人におすすめ?
- とにかく「最高のパフォーマンス」を追求したい人。
- AIの能力を最大限に引き出して、最先端の技術を試してみたい人。
- 多少の試行錯誤も楽しめる、冒険心のある人。
SvelteとSvelteKitの比較表:
比較項目 | Svelte (コンパイラ) | SvelteKit (フレームワーク) |
---|---|---|
位置付け | コードを翻訳する「コンパイラ」 | Svelteを使った「全部入りキット」 |
表示方式 | 基本はクライアント側で表示 (CSR) | 最初から高速表示 (SSR) に対応 |
ページ移動 | 外部ライブラリが必要 | ファイルを作るだけで自動で設定 |
開発体験 | 書くコードが少なく、動作が軽快 | 最新の開発体験。非常に快適 |
おすすめ用途 | WebサイトのUI部品、パフォーマンス重視の場面 | 小規模〜大規模までのモダンなWebアプリ |
まとめ:AIへの「最初の一言」、あなたならどう伝える?
Vibe Codingの時代、ぼくたちの役割はコードを書く「作業者」から、AIに指示を出す「監督」や「ディレクター」へと変わりました。
そして、その最も重要で、最初の仕事が、「どの技術(魔法)を使うか」をAIに伝えることです。
最後に、あなたの目的に合わせて、AIに伝えるべき「最初の一言」をまとめます。
- AIに「安定と信頼」を求めるなら…
「Next.jsで、ビジネスにも使える本格的なブログサイトを作ってください」
- AIが作ったものを「自分でも理解したい」なら…
「Nuxtを使って、構造がシンプルで分かりやすいポートフォolioサイトを作って」
- AIと「未来の技術」で遊びたいなら…
「SvelteKitで、世界一速く動くインタラクティブなサイトを作ってみて」
さあ、あなたなら、Geminiにどんな呪文を唱えますか?
この記事が、あなたのVibe Codingの最高のスタートを切るための、きっかけになれば嬉しいです。